「下町ロケット」ギアゴーストが絶対絶命の裁判でなぜ勝てたのか

下町ロケットのゴースト編が完結!


当初「勝てない」と言われていた裁判にやっぱり勝ちました。池井戸潤原作は勧善懲悪が特徴ですから。

 

ドラマを観ていない方には、なんのこっちゃ?って感じですよね。

前作に引き続き、下町ロケットでは特許侵害をめぐる争いがあったんですが、今回もとても勉強になりました。

ドラマ「下町ロケット」2作目でも主人公の重要な取り引き先であるギアゴーストが特許侵害で訴えられます。

前回から引き続き主人公側の敏腕知財弁護士が登場するのですが、反証の材料が見つからず、完結前の話までは「このままでは絶対に勝てない」ということになっていました。

いや、ひどいんですよ。
訴えられたギアゴーストの顧問弁護士が、相手側企業と忍者のように内通していて、はじめから仕組まれた特許侵害訴訟だったんです。

これはもう超最悪。
味方であるはずの顧問弁護士が敵とつながってるんですから。
さすがの敏腕・神谷弁護士もお手上げ!

一体どうなるのか?最後に勝つとはわかっていてもワクワクしながら家族とドラマを観ました。

さて完結の回では、裁判で顧問弁護士が相手側とつながっていたことが暴かれました。
一緒に観ていた家族にもその部分はわかりやすかった。

しかし新たに裁判で提出された証拠の部分、どこかの大学教授が出てきたりしたところは、あまりピンとこなかったようです。

 

特許無効というカウンターパンチ

最後に見つかった証拠というのは、ある大学教授の論文でした。

特許というのは、新規性・進歩性がないと取得することはできません。

今まで世の中になかった新規のアイデアであるのか(新規性)、既知の知識から容易に思いつくことができるアイデアではないか(進歩性)、というポイントをクリアする必要があります。

特許庁の審査官は、今まで出願された特許と内容がかぶるアイデアでないか比較し、問題が無ければ特許と認められます。

ですので、出願されたアイデアが本当の意味で世にあるものか否かは特許庁にはわかりません(あまりに常識的なものは除く)。

そんなこともあり、特許として一度認められたとしても、後からその内容が取得前に世に知られているアイデアと証明されれば(発表・出版されてる等)、その特許は「無効」になってしまうのだ!

大学教授の論文は、相手側の特許に関わる内容で、特許が認められる前に発表されていたものでした。

つまり相手方の特許に新規性が無いことが証明され、「無効」になるいう証拠だったのです!!

 

裁判に負ける上に、取得した特許も「無効」になるという。。。恐ろしいカウンター攻撃。。。

 

勝ち誇っていた悪者たちが、逆転カウンターパンチでやられる様は、”倍返し”の池井戸潤原作らしいなぁ。

主人公側の敏腕弁護士、神谷弁護士のモデルは実在する方で本も出していました。

 

 知財戦略のススメ/ 鮫島 正洋(著)


前回も今回もかっこいい描き方だったので、つい手に取っちゃいましたよ。

 

侵害を訴えられた側が”無効”で対抗することは、特許侵害訴訟ではよくあることで、数年前のジャストシステムワープロソフト「一太郎」が松下電気産業に訴えられた裁判で、ジャストシステムが逆転勝訴したのも、”特許無効”によるものでした。

 

「一太郎」特許権侵害訴訟 −松下のアイコン特許は無効、ジャストが逆転勝訴!− | 意見・声明 | 日本弁理士会の活動 | 日本弁理士会


最近では、クラウド会計ソフトfreeeとマネーフォワード(MFクラウド)の知財訴訟がありましたが、WEBサービスをはじめスタートアップを目指す人たちには他人事ではないはず。

 

ちなみに下記サイトでは、いままで出願された特許を検索することができます。

 

特許情報プラットフォーム

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 

専門的で読みづらいですが、多岐のジャンルにわたるあまたの発明家たちのアイデアが詰まったデータベースなので、覗いてみると楽しいですよ。
なにかアイデアが浮かんだ際、似たものがないか検索してみるのもいいかもしれません。