忍者カムイが出てこない「カムイの剣」

白土三平先生の漫画が好きだったとBlogで触れていたが、じつは深く忍者が好きになったキッカケは小説「カムイの剣」だったでござった。

たしか小学校高学年のころに、たまたま”カムイ”という言葉につられて(カムイ外伝はテレビで観ていた)手にした小説だったが、まるで忍者”カムイ”が出てこない。。。

 

じつは、ここでの”カムイ”は、人名ではなくアイヌ語の”カムイ”だったのだ。

 

期待してただけに、最初ちょっとがっかりしたのだけど、読み進めるうちにいつのまにか「。。。ん?ふむふむ」となり、すっかりハマってしまった。

 

あらすじは、こんな感じ。

時は幕末、主人公はアイヌと和人の混血児で、薩摩隠密の父がある財宝に関わっていたことから、大きな陰謀の渦に巻き込まれ、翻弄されながらも宝をめぐり大冒険をするという話(かなり大雑把)。

 

忍者はちゃんと出てきますよ!

基本ドロンとか”〜の術!!”みたいなのが出てくる感じではなく、結構リアルに描かれていると思う(史実に合ってるかは別)。戦いの描写もカッコいいですし、忍者同士の騙し合い、駆け引きなんかも楽しませてくれます。

 

主人公はある事情から忍者としての訓練を受けるんだけど、馬につながれて走るとか、結構激しくしごかれます。でも肉体的な訓練だけではなくて、言葉が違う土地にいっても身振り手ぶり等を駆使してコミュニケーションを取りながら言語をマスターするような訓練もやってたりもします。

 

薩摩と公儀の隠密の戦いも描かれてるので、その関連もあるのでしょうけど(方言がきつい薩摩藩に侵入した忍者は話す言葉で正体がバレてまず戻ってこれなかったらしい)、じつはなんと主人公がアメリカまで渡っちゃうんです。

で、当然英語なんて習っていないのですが、さっきの術がここで役に立つんです!

 

たしかに荒唐無稽な話ではあるのですが、ちゃんと歴史的な裏付けがあったり、説得力がある描写がされているので、その点でガッカリすることはありません。忍者カムイは出てこないけど(笑)

 

今思えばアイヌについて初めて意識したきっかけでもありました。

アイヌの血を引く若者がアメリカ先住民の娘(じつは赤子のころに拾われたフランス人)と恋に落ちたりするところがあったりするところもじつに意味ありげで興味深いです。

ちなみに白土三平先生のカムイ伝アイヌとは無関係なわけではなく、当初はシャクシャインの戦い(アイヌ民族の蜂起)に繋がる構想だったそうです。

 

アニメ映画になったりしてるので、知る人ぞ知る作品なはずなんだけど、どうやらあまり知られてないので、残念な今日このごろ。 

波瀾万丈どんでん返し連続のエンターテイメント作品なので、是非とも読んで欲しいでござる。

 

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